Traduction d’un poème de Kadhim Jihad (2005)
日 本はアラブ世界から地理的に遠く、歴史的にも結び付きが浅く、十分な相互理解を建設、真の友好・親善関係を築き上げるための鍵となるのは、何といってもお 互いの言語でしょう。私はかって読んだ詩を思い出しました。その詩はイラクの詩人1が作って、中で日本の友の話を語っています。
その詩を日本の方々に差し上げます。
日本の友と音楽の謎
(Abbas Baydoun2へ)
旅の途上のベルギーの
宿の隣人は日本人だった。
共にレンブラントに
見入っていた。
前夜、彼はつつましく、
日本の土産をさしだした。
硬貨の入った色美しい布袋
異郷で知り合う友人に渡すようにと
彼の婚約者が刺繍した。
油絵の画中では一人の人物が笑みをうかべている。
うたっているかのように。
私は心をうばわれた。
人気のない、広く冷たい展示室に
突然私達しか聞こえぬ音楽が沸き起った。
秘密めき謎にみちた音楽
その不思想な旋律は画中の微笑む人物からか
それとも
背後の日本の友の口笛だったのか
今も、解らず。
1) カヂム.ジハド(Kadhim Jihad)
1955 年に、イラク南部、バグダード南東約350キロにある古代メソポタミア南部の都市というウルで生まれる。17歳から新聞、文学雑誌などで詩を発表しはじめ た。1976年にフランスに向けて、1995年ソルボンのアラビア文学科博士号修得。国立東洋語東洋文明研究所(INALCO)に講師となる。選文集を5 つ出版して、イタリアの大詩人ダンテの神曲(La Divina Commedia)をアラビア語に無韻詩句で翻訳した。文芸評論にも携わる。
2) レバノンの詩人